事業承継と400メートルリレー
久しぶりに会計事務所らしい記事を書きます(笑)。
昨今、国の方針施策や経営の重要課題として『事業継承』という言葉が出てくるようになりました。文字通り『事業』を『承継』するということで、簡単に言えば、社長の交代、引継ぎです。
大企業は別として、日本の中小企業は世襲制がいまだに多く、創業社長から二代目の息子に経営を引き継ぐパターンが多いのが現実です。また人口分布からもわかるとおり、中小企業の社長の平均年齢が年々上がっており、交代の時期にさしかかっている企業が多いことが、事業承継注目の要因となっています。
そのことを考慮してか、国も今年来年と相続税法や民法など、いくつかの法律を整備して、事業承継の円滑化を図る予定です。
しかし、この法律整備も個人の税金や会社の金融対策などが中心で、会社経営の立場から見ると補助的なものです。いちばん重要なことは、経営を上手く引き継いで会社を永続的に発展させることです。私たちの会計事務所グループもそのことにもっとも力を入れています。
二代目社長の引継ぎはなかなか上手くいかないと言われます。それは前提としてお互いの視点が違うからだと思います。何もないところからスタートした先代社長と、体制などほとんどが整っている状態からスタートする二代目、これから先の未来を見る感覚もお互い違います。親子という独特の甘えのようなものもあるでしょう。
会社ごとに状況や課題は違いますし、難しい問題だと思います。そんな中、先日まで賑わっていた北京オリンピックの、男子陸上400メートルリレーを思い出しました。
日本陸上男子史上初のメダル獲得となった今回のリレーは、何度見ても感動しますね。体格の違う強豪国を抑えてのメダルでしたが、その遠因のひとつはメダル候補のアメリカ、イギリスのバトンミスによる予選敗退だと思います。日本は4人のしっかりとしたバトンリレーで快挙を達成しました。
このまま日本は少子高齢化と人口減少が進むと市場が縮小する可能性は高くなります。この状況の中で企業は生き残っていかなくてはなりません。今回のリレーを企業経営に例えると、アメリカ、イギリスが脱落し、日本が生き残ったことになります。ひとりひとりの身体能力が日本より高いと思われたアメリカ、イギリスもバトンリレーが上手くいかなかったために市場から脱落せざるを得ませんでした。
バトンリレーに失敗した理由は何だったのでしょう?詳しい映像を見ていないのでわかりませんが、ここでは今回のオリンピックに限らず、一般的なバトンミスの理由をいくつか考えてみたいと思います。
まず単純にお互いの手と手が遠かったこと、これは経営で例えると空白期間があること、誰の方針・指揮・命令で動けばいいかわからない状態です。
次にお互いのスピードに差があったこと。前走者が全力で走ってきても次の走者がほとんど立ち止まっていたらバトンを渡すタイミングはとても難しくなります。反対に前走者の速さに次走者がスピードを合わせても、渡す直前に予想以上に前走者が疲れてペースダウンしたらうまくいかないでしょう。これも経営に例えてみて状況を想像してみて下さい。
それから油断です。走ることだけに意識が集中してしまって引継ぎ行為がおろそかになってしまったことが考えられます。またライバルの走者が気になったという可能性もあります。
バトンリレーの理想は、お互いが併走する区間を作り、同じスピードでバトンを渡すことです。この併走区間をいかに気持ちよく、気持ちを込めてスピードを上げてふたりで作れるかが経営にとって、事業承継にとって、そしてメダル獲得のために最大のテーマだと思います。とても参考になった感動の胴メダルでした。
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