読書と学力について
先日、東京ビックサイトで行われたブックフェアに今年も行ってきました。昨年は『鳴子の米プロジェクト』イベントの農文協さんなど、各ブースをゆっくり周りましたが、今年はおもにセミナーに参加していろいろお話を聞きました。
最初に立命館大学教授の陰山英男さんの『読書が子どもの成長の可能性を決める』という話を聞きました。そのセミナーで紹介されたデータが驚きの連続でした。また、最後に陰山さんがお話しされたことがとても印象に残りました。
陰山さんは小学校の教師、校長を歴任され、安倍内閣時の教育再生会議メンバーでした。実はこの日まで陰山さんのことも『百マス計算』のことも知りませんでした。
陰山さんが用意されたデータを見ていて愕然としていきました。まず、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)でかつて1位だった日本の数学応用力が現在10位、そして読解力もどんどん順位が下がり現在15位で、なんと東アジア最低です(評価方法に問題点はあるようですが)。それから現在中国の小学校5,6年生で勉強する英単語は日本の中学校3年生より多いようです。さらに愕然としたのは大人の統計です。ひとり当たりのGDP(国内総生産)は、2000年に日本は世界で3位だったものが、この8年で18位に後退。そして東アジアの会社員の平均帰宅時間の調査では、日本は17時台から18時台、19時台…とだんだん増えていって、なんと23時台が最も多いのです。ちなみに中国をはじめほとんどの国が18時台が最も多く、日本にいちばん近い韓国でも20時台が最大でした。日本がいかに生産性が悪くなったか分かります。陰山さんは「仕事が原因のうつ病対策の会議を夜遅くまでしている」と言って、みなさん爆笑していました。
次に、どうしたら子どもの学力が高くなるかという調査では、読書量で明らかな違いがありました。データでは月平均6~10冊本を読む生徒の学力がいちばん高く、これ以上多く読む人は明確な関連性がなかったのに対し、6冊未満の生徒はその読書数によって正比例していました。また読書以上に学力に影響があったのは、なんと朝食です。朝食をきちんと食べているかどうかがいちばんのポイントで、しかも品数が多いほど学力がアップするようです。それに対し、重要視がちな『家庭学習の時間』は、朝食や読書に比べると重要度は低いようです。また早寝早起きも重要で早寝ほど学力が高いというデータもありました。
また単純な計算の連続(いわゆる『百マス計算』です)も読書と同じくらい脳を刺激して学力アップに繋がるそうです。それから最近のデータによると、日本は世界の主要国の中で、家庭学習時間がもっとも短く、テレビを見ている時間がもっとも長いそうです。
目からうろこのデータが目白押しで考えさせられることが多かったです。
最後に、印象に残った陰山さんの言葉というのは、講演が終わって質疑応答の時のことでした。「子育てに漫画はよいのでしょうか」という質問に対し、陰山さんは「子どものためにどうしたらいいか大人が深く考えること」と答え、また「読書は精読と乱読、どちらがいいでしょうか」という質問に対しては、「どちらも大事。自分にとってその本の価値は何なのか」という答えでした。とてもよい質問と答えだと思いました。最近の風潮として、例えば子育てのマニュアル本がたくさん出ています。あるひとつの答えがあると、それがすべて正しいと決め付けてしまう傾向があるとおっしゃっていました。私も確かにそんな感じがあるような気がして反省です。いい答えはきっとたくさんあります。いちばん大事なのは、経験して深く考えて、自分なりにバランスよく対処することだと思います。貴重なお話を聴くことが出来ました。
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